ドイツ人司祭の列福(1)


第2次世界大戦中、ドイツ・リューベックにおいてナチスの迫害によって殉教した4人の聖職者たち(カトリック3人、プロテスタント1人)がいました。このうち3人の司祭について、今年2011年6月25日ハンブルグにて列福式が執り行われました。

6月26日(日)正午のお告げの祈りの際、教皇ベネディクト16世は列福されたばかりのこの殉教者について「福音の輝かしい証人」と述べられました。(教皇様の「お告げの祈り」の全文は カトリック中央協議会ホームページ にて読むことができます)

列福された3人の司祭たちが歩んだ軌跡を振り返ってみたいと思います。

尾崎神父様(オプス・デイ)の翻訳でお届けします。
全3回の予定です。

(Zenitの記事はこちらです http://www.zenit.org/article-32954?l=english

 

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【ローマ、2011年6月27日(ZENIT.org)】

ベネディクト16世は、ナチスに殺された司祭3人とプロテスタントの牧師1人は「人類と希望に対する偉大なエキュメニカルな証し」であると言われた。教皇はこの日曜日の正午、サン・ピエトロ広場に集まった信者とともにお告げの祈りを祈った後で、土曜にドイツのリューベック市で列福された3人の司祭に言及した。1943年11月10日にギロチンで処刑されたのは、ヘルマン・ランゲ神父、エドワルド・ミュラー神父、ヨハンネス・プラッセク神父とルター派の教会の牧師K.F.ステルブリンクの4人である。

教皇は「福音の輝かしい証人であるこれらの殉教者のために神を讃えましょう」と招き、さらに「神はこの上なくよいお方で、私から恐れを取り去られ喜びと希望をお与えになりました」というプラッセク神父の手紙を紹介された。教皇によれば、神父が牢獄の中から天国を示し、信者たちに喜びを分かち合うように招いていた。

列福式は、ベネディクト16世の代理、列聖省の長官アンジェロ・アマート枢機卿が司式し、説教はキリスト教一致推進評議会の前長官ウォルター・カスペル枢機卿がした。枢機卿は「この4人はキリスト教徒であるとはどういうことかを教えてくれます。それはイエスがいるところにいて、イエスと共に生き死ぬことです」。今日も「私たちはこのような気概をもった男女を必要としています。というのは、現在キリスト教徒は世界の中で最も迫害されているグループだからです」と言われた。

3人の列福調査を担当したアンドレア・アンブロシ師は、以下のように3人のプロフィールを語る。

[E:clover] ヨハンネス・プラッセク神父 Johannes Prassek

ヨハンネス・プラッセク神父神父は司祭に叙階された日、自分を「最も幸せな人間」と言った。今から100年前にハンブルクに生まれ、フランクフルトのイエズス会の聖ゲオルグ大学で勉強。1935年、オスナブリュックの大神学校に入学し、2年後司祭叙階を受けた。

最初の仕事は、メクレンブルクのヴィッテンブルクの助任司祭で、1939年リューベックの小教区の助任司祭になり、その後主任司祭になる。まもなく信者の愛情を勝ち取る。彼は肉体的精神的に倒れる寸前まで、司牧に邁進した。すぐに説教師としての評判が広がった。「日曜日の説教は非常に印象的で、無数の信者だけでなくゲシュタポのスパイまで魅了した」という。
友人の中には、神父がする体制批判は少々過激すぎるのではないか、と忠告する者もあったが、プラッセクは意に介さなかった。真実を話すのが義務だと考えていたからである。

神父は体制批判をするだけでなく、リューベックに強制移住させられたポーランド人を助けようと、ポーランド語の勉強を始めた。1941年にプロテスタントの牧師と知り合った。彼とはとても気が合い、牧師はカトリックの勉強がしたいと言った。しかし、この男はゲシュタポのスパイであった。この男が手に入れた情報がもとになって、神父は1942年5月18日に逮捕された。

こうして、ブルグクロスターの監獄(今日では博物館になり、この名前を冠している)に連行された。飢えと寒さの劣悪な環境の中で、裁判を受けるまで1年以上の間ここで過ごした。神父は消化器官が弱かったので、そこでの生活で体をひどく壊した。しかし、その間多くの手紙を書いた。

「監獄の辛い生活と死刑を待つという心理状況にもかかわらず、プラッセクは信仰を失わなかった。彼の愛情は監獄の同僚を慰めることに注がれた」という。処刑の日、家族に手紙を書くことを許されたが、それらの手紙は激しいナチス批判の内容のために破棄された。「ギロチンが、勇気と信仰のおかげで耐えることができた最後の苦しみに幕を引いた」という。

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