抜粋・翻訳:尾崎神父様(オプス・デイ)
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(Zenitの記事はこちらです http://www.zenit.org/article-32403?l=english )
[E:clover]司会者:
質問は、数年前から内戦状態が続いているコートジボワールのイスラム教徒の女性からです。この方はビントゥーという名前で、アラビア語で「神があなたの言葉の一つ一つにいて下さいますように。神さまがあなたとともに」という意味の挨拶を送っています。この言葉は対話を始める際に使うものです。次にフランス語でこう続けます。
[E:clover]質問者:
愛する教皇様、ここコートジボワールでは、キリスト教徒とイスラム教徒はいつも仲良く暮らしてきました。一つの家族に2つの宗教の人がいることも珍しくありません。また当地では複数の民族が共存していますが、今まで問題があったことはありません。
でも今すべてが変わってしまいました。
政治が起こしたこの危機の中で、対立を煽る人たちがいます。どれほど多くの無実の人が命を失ったことでしょう。なんと多くの避難民、なんと多くの母や子供が心と体に傷を負ったことでしょう。預言者たちは平和を訴えました。イエスは平和の人です。そのイエスの使者である教皇様、私たちの国にどういう助言をいただけますか。
[E:clover]教皇様:
私もあなたのご挨拶に対して、「主はまたあなたとともにおられ、絶えずあなたをお助けになりますように」とお返ししたいと思います。
私もコートジボワールから悲惨な状況を伝える手紙を受け取っています。それらはコートジボワールが悲しみに沈み、深い苦しみを味わっていることを伝え、私はこちらがほとんど何もできない事実を思い悲しくなります。
ただ、いつも私たちにもできることがあります。あなたたちと一緒に祈ること、そしてできる範囲で慈善の仕事をし、なかでも、そちらの当局や私的な団体とできるだけ協力したいと思っています。
私は、バチカンの正義と平和委員会の委員長であるトクソン枢機卿に、コートジボワールに飛び、国の再建ができるように異なるグループと人びとの仲介を試みるように頼みました。
特に私たちは、あなたたちも預言者として信じているイエスの呼びかけを人びとの耳に届かせたいと思っています。イエスはいつも平和の人でした。神がこの地上に来られた時、敵の勢力を叩きつぶすことのできる偉大な権力をもった者として、つまり平和を確立するために暴力を行使する人物として現れることも可能だったと考えることもできます。
しかし、そうではありませんでした。彼は弱々しく、ただ愛の力だけをもって、いかなる種類の暴力も使わず、十字架に赴いたのです。このことは神様の本当の顔を見せてくれます。
また、暴力は決して神からのものではないことを、暴力からは決して善いものが生まれないことを、反対に暴力は破壊の手段であり、困難から抜け出るための手段ではないことを教えてくれます。それはあらゆる種類の暴力に強く反対する声です。
私はすべてのグループに暴力を捨て、平和への道を探るよう大声で呼びかけたいです。あなたたちの祖国の再建のために、たとえ自分たちは正しい、相手が間違っていると思っても、暴力的な手段を使うことは適切ではありません。
再建のための唯一の道は、暴力を捨て、対話を再開し、ともに平和と互いの助け合いを求め、互いに心を開くことです。愛するご婦人、平和的な手段で平和を求め、暴力を捨てること、これがイエスの真のメッセージです。
私たちはあなたたちのために祈っています。コートジボワールのすべての人びとがこのイエスの声に耳を傾け、そうして平和と交わりを取り戻しますようにと。