リジューの聖テレーズの両親・マルタン夫妻の奇跡


マルタン夫妻列聖のタペストリー2015年10月18日、バチカンでリジューの聖テレーズの両親・マルタン夫妻が列聖されます。
ご存知の通り、教会では、列福・列聖のために、それぞれ1つずつその聖人の取り次ぎによる奇跡が認められる必要があります。
マルタン夫妻の列聖の場合、それは、現在7歳になる女の子・カルメンの奇跡的な癒しでした。

カルメンは2008年にスペインに生まれました。6ヶ月という早産だったため、生まれてから数週間は、脳出血を始めとする深刻な病気に悩まされました。細菌感染などの合併症もありましたし、器官が未熟なのも問題でした。生後35日間、カルメンへの感染を避けるため、両親はカルメンに触れることさえできませんでした。
日に日に状態は悪くなってゆき、遂に危機的な状態になったのです。最悪の場合に備えるよう、医者は両親に伝えました。このような状況にある両親は、無気力になったり、ただ悲しみにくれたり、罪悪感を感じたり、絶望してしまったりすることでしょう。しかしカルメンの両親には既に5歳になる息子がいたため、このような状況が息子に悪影響を及ぼさないようにも気を遣っていました。2人は決して信仰を失うことなく、かえって信仰を深め、信仰が彼らの支えとなっていました。
「私たちにとって信仰が家庭の基礎であり、信仰なくしては、希望もありませんでした」(カルメンの父談)

カルメンはアビラの聖テレジアの記念日(10月15日)に生まれたので、両親は大テレジア関連の修道院や教会に祈ってくれるよう頼んでいました。
祈りのお陰で、状態は悪いながらもカルメンは命を繋いでいました。

両親はもっと多くの人に祈ってもらおうと熱心に調べて、バレンシア州セラにあるカルメル会の聖ヨセフ・聖テレジア修道院を訪れたのです。

修道院に着いたのは夜だったので既に門は閉まっていたのですが、その修道院のシスターに玄関のインターホン越しに事情を話し、シスターは祈りを約束してくれたのです。また、シスターは日曜日にミサに来るよう両親を誘ってくれました。
日曜日にミサに出ると、すぐさま25マイル(約40km)離れた娘の病院にとって返すということが4、5回続く間に、カルメル会のシスターたちとカルメンの両親は親しくなりました。それがきっかけとなり、カルメンの両親はリジューの聖テレーズの両親であるマルタン夫妻のことを知ることになったのです。

カルメンが生まれた4日後の2008年10月19日に、マルタン夫妻の列福式が行われていました。
シスターはカルメンの両親にマルタン夫妻のご絵や祈り、夫妻の略歴を渡しました。修道院長は「福者となったマルタン夫妻がきっと奇跡的な癒しをカルメンにもたらし、家族を助けてくれるに違いありません」と語りました。その夜から両親はマルタン夫妻への祈りを始め、聖ヨセフ・聖テレジア修道院を始めとするカルメル会の修道院もカルメンのために祈り始めました。

変化はすぐに現れました。その翌日、カルメンの状態が変わったのです。

カルメンは一気に回復し始めました。人工呼吸器なしで息ができるようになり、感染症も収まり始めました。3日目には、脳出血の副作用のために何年も出ることができないだろうと思われていた集中治療室を出ることができたのです。

カルメンは、2009年1月2日に退院できました。奇しくもその日は、リジューの聖テレジアの誕生日でした。

退院から15日後、マルタン夫妻の聖遺物がスペインのレリダという町に来たので、是非行くようにとシスターがカルメンの家族に勧めました。そこで家族がレリダを訪れたところ、偶然にマルタン夫妻の列聖申請代理人の司祭と会い、カルメンの癒しについて報告したというわけです。

= 関連記事 =
史上初の夫婦の同時列聖。リジューの聖テレーズの両親マルタン夫妻(2015/10/01)

= 参照記事 =
The miracle behind the canonization of the parents of St Therese of Lisieux [EWTN]


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です