2017年5月13日にポルトガル・ファティマで、聖母のご出現を受けた3人の牧童のうちの2人、フランシスコ・マルトとヤチンタ・マルトの兄妹が列聖されました。
この列聖式ミサで奉納を担当した人びとの中にブラジル人の少年がいました。ルーカス・バプティスタ君(9歳)です。フランシスコとヤチンタの列聖が認められたのは、このルーカス君の癒しが2人の取次ぎによる奇跡であると認められたからでした。
ルーカス君の癒しとはどのようなものだったのでしょう?
それは、2013年3月3日午後8時ごろのことでした。
ブラジル・リオデジャネイロから1000kmほど内陸に入ったユランダという町に住んでいた当時5歳のルーカス君は、妹と遊んでいて、誤って窓から外に落ちてしまいました。約6メートルの高さから、頭から地面に叩きつけられて重傷を負った彼は、脳に深刻なダメージを受けました。
生死をさまよう彼は地元の病院から、より大きな病院に移されましたが、そこに両親が駆け付けた時には、彼は深い昏睡状態にありました。2度心臓が止まり、緊急手術が行われました。
両親はファティマの聖母に祈り始めると共に、病院のある町のカルメル会修道院に電話して、留守電に息子のために祈って欲しいとメッセージを残しました。しかし修道院はちょうど「完全沈黙」期間中で、そのメッセージが聞かれることはありませんでした。
ルーカス君は日に日に容態が悪くなってゆきました。
3月6日、医師は彼を別の病院に移そうと言い出しました。「回復する見込みはほとんどないし、もし命が助かったとしても、重度の認知障害や植物状態になる可能性がある」と言われたのです。
3月7日、父親はもう一度修道院に電話をし、今度は連絡を取ることができました。
シスターの一人がご聖櫃の脇にあったフランシスコとヤチンタの聖遺物の元に走ると、次のように祈るようインスピレーションを受けたのです。
「羊飼いたちよ、あなたがたのような幼いこの子を救って下さい」
シスターは他の姉妹にも一緒に祈ってくれるように頼みました。
シスターたちと両親が祈り始めた2日後の3月9日、ルーカス君は昏睡から目覚めてしゃべり始め、妹を呼び寄せさえしました。
11日にICU(集中治療室)を出て、その数日後には退院できたのです。
彼の治療に携わった医者たちは(その中には未信者もいます)、この回復は医学的には説明がつかない、と言っています。
その後も何の後遺症もなく、ルーカス君は元気に暮らしています。
= 参考記事 =
・ This is the miracle that led to the Fatima children’s canonization [CNA]
= 関連聖品 =
・ ファティマの聖母のメダイ [WEBショップ]
・ ご絵「ファティマの聖母(汚れなき御心)」 [WEBショップ]