アントニオ・プリマルドと800人の同志殉教者 ―― オスマントルコ時代の殉教者

2013年2月11日の枢機卿会議においてパパ様・教皇ベネディクト16世が退位宣言をなさいました。そのため、この会議の本来の議題だった列聖承認についての情報が飛んでしまいました。

この日列聖が承認されたのは、以下の3人です。

  • Antonio Primaldo e Compagni (アントニオ・プリマルドと同志殉教者)
  • Laura di Santa Caterina da Siena Montoya y Upegui (マントーヤ及びウペグイのシエナの聖カタリナのラウラ)
    ―― カルメル会修道女となる夢を抱いていましたが、南米で現地の人びとに宣教するために一生を捧げました。
  • Maria Guadalupe García Zavala (サバラの恵みのグァダルーペのマリア)
    ―― メキシコでカトリック教会が迫害されていた時期、貧しい人々のために働く修道会の共同創立者として活躍しました。

このうち、16世紀、オスマントルコ帝国下にあって殉教した「アントニオ・プリマルドと800人の同志殉教者」について、詳しくご紹介致します。

尾崎神父様(オプス・デイ)の翻訳でお届けします。

(Zenitの記事はこちらです http://www.zenit.org/es/articles/san-antonio-primaldo-lider-de-los-cristianos-masacrados-en-otranto

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アントニオ・プリマルドと800人の同志殉教者

※ 画像はクリックすると拡大表示されます。

【ローマ 2013年2月6日(Zenit.org)】

2月11日、16世紀にオスマントルコ帝国によって殺害された800人の殉教者の列聖が認可される。
それは「アントニオ・プリマルドと800人の同志殉教者」である。
アントニオ・プリマルドは1480年7月29日にイタリアの港町オトラントを襲撃したオスマントルコ軍によって殺害された800人の漁師、職人、羊飼い、農民たちの中で唯一名前の知られた人物である。

オトラント

その日の夜明け頃、オトラントの城壁から水平線に約1万8千人の兵士を積んだ90隻のガレー船、48隻のガレオン船、15隻の輸送船からなる船隊が見えた。この艦隊を率いていたのは征服帝と呼ばれるメフメト2世の家臣アゴメトで、1451年21歳でスルタンになっていた。1453年には26万の軍隊をもってコンスタンチノープル(第2のローマ)を征服したメフメト2世は、真実のローマを征服し、聖ペトロ教会を厩にする夢を見ていた。
1480年にその時が来たと考え、ホスピタル騎士団によって頑強な抵抗を受けたロードス島の攻撃を解き、艦隊をアドリア海に向けた。オトラントはイタリアの最も東に位置する町で、東方と西方を結ぶ橋のような役割を果たしていた。

包囲された城砦には全住民が避難していた。400人いた守備兵は皆逃亡してしまい、城には一般市民だけが残されていた。15日続いた包囲の後、8月12日トルコ軍は城壁の最も弱い場所を破り城内に侵入した。トルコ人兵士は手当たりしだい殺戮を行い、住民の大部分が避難していたカテドラルに至り、扉を破って、司教の祭服に身を包み右手に十字架を握っていたステファノ大司教を取り囲んだ。
「この瞬間からマホメットが支配するのだからもうキリストの名を呼ぶな」との命令に対して、大司教は彼らにキリスト教を信じるように説いたので、新月刀で首を切られた。

アントニオ・プリマルドという名前の年老いた仕立屋が皆を代表して、宣言した。「私たちは皆、神の子イエス・キリストを信じる。彼のために千回でも死ぬ覚悟だ」と。
アゴメトは捕虜800人を死刑にすると定めた。

翌朝、首に縄を掛けられ両手を背後で縛られた捕虜たちは、町から約100メートル離れたミネルヴァの丘に引き出された。全員が再度信仰を宣言し、以前に表明した覚悟を繰り返した。トルコの指揮官は斬首を命じた。

まず老アントニオが処刑された。彼は仲間たちを励まし続け、信仰をしっかり守り、すでに開いている天を見るように言ったからだ。首を岩の上に置く前には、天が開けて天使たちが励ましているのが見えると言った。

伝えによれば、彼が首を切られたとき、その体は立ち上がり、殺人者たちはそれを倒そうとしたが、全員の処刑が終わるまで立ち続けたということだ。

教皇ベネディクト16世は、2012年12月20日、この殉教者たちのグループの取り次ぎによって行われた奇跡を認める教令を出した。

Photo © Freddyballo / Wikimedia Commons


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